なぜグロテスクな広告が存在するのか?人間の本能を利用したPR戦略

昨今の広告について、私たちは動画配信サイト、SNS、WEBサイト、そしてゲームなど、さまざまな場所で目にします。しかし、その中には、目を背けたくなるようなグロテスクな広告が含まれていることがあります。多くの人は、視聴者が嫌悪感を覚えるような広告を出すのは、商品のPRとしては悪手だと感じることでしょう。

広告に関わる仕事をしていると、「なぜグロテスクな広告を出すのか?」という質問を受けることがあります。今回は、この疑問について、まずは人間の本能から探りつつ、グロテスクな広告が使われる理由を考察していきます。

人間の本能

まず、人間の本能について考えてみましょう。私たちは、好きなものよりも嫌いなものや危険なものに強く反応するようにできています。たとえば、私は猫が好きですが、道端で猫を見かけても珍しい種類でない限り、あまり気に留めません。しかし、見たこともない生物や蛇のような危険な動物に出会ったら、その光景は強烈に記憶に残るはずです。

このような反応は、人類が狩猟をして生活していた時代の名残だと考えられます。狩りの獲物を逃しても次の機会がありますが、天敵の存在に気づかない場合、それは命の危険に直結していたでしょう。だからこそ、危険な存在や未知の生物に強く反応し、記憶に残すという本能が私たちに備わっているのです。

グロテスクな広告を出す理由

では、広告に話を戻しましょう。なぜグロテスクな広告が存在するのか?その理由は単純です。嫌悪感を刺激して、強く記憶に残すことを狙っているのです。

先に述べた通り、人間は危険なものや不快なものに対して強い記憶を残す本能を持っています。これを広告に応用することで、見た人に強烈な印象を与え、忘れられない広告を作り出すことができます。特に、美容系の広告には、この手法がよく使われます。コンプレックスを刺激し、不安を煽りつつ、それを解消する商品を提案するという流れです。

実際、こういったコンプレックスに訴えかける商品は非常によく売れます。商品の売りやすさを重視し、商品の素晴らしさを伝えるよりも、まず記憶に残すことに重点を置いた広告が生まれるのはこのためです。その結果、視聴者に嫌悪感を与えるような広告が増えてしまっているのです。

グロテスクな広告の問題点

しかし、私はこのような手法には疑問を感じます。確かに記憶に残すことは重要ですが、嫌悪感を伴う記憶は、長期的にはブランドの信頼を損なう可能性があるのではないかと考えています。グロテスクな広告は短期的には効果があるかもしれませんが、企業に対するネガティブなイメージを与えるリスクが高いです。

どうせ記憶に残すなら、幸福感に満ちたポジティブな記憶の方が良いはずです。幸福感は、視聴者に良い印象を与え、長期的にその企業や商品をポジティブに思い出してもらうための強力な手段となります。

まとめ

次の記事では、幸福感を基盤にした記憶に残る広告の作り方についてご紹介します。視聴者にポジティブな印象を与える広告は、長期的な信頼と好感度を高める力があります。今後の広告手法を考える上で、幸福感がいかに重要かを一緒に探っていきましょう。

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