人類は古くから水を得るために、さまざまな技術を開発してきました。その中でも、自然の力を感じ取りながら水脈を探し、人力で井戸を掘る方法は、今も多くの地域で使われ続けている伝統的な技術です。この方法は特に電力や高度な機械設備が限られている地域で貴重な手段となります。今回は、水脈を探し、手掘りで井戸を掘るというプロセスについて詳しく紹介します。
1. 水脈探し:自然のサインを読み取る
Contents
井戸を掘る前にまず重要なのは、水脈を見つけることです。水脈とは、地中を流れる地下水の通り道のこと。地表からは見えませんが、自然には水脈を示すさまざまなサインがあります。
自然の地形と植生を観察
地形や植生の観察は、水脈を探すための伝統的な方法の一つです。例えば、低地や谷間は地下水が溜まりやすい場所として知られています。また、シダ類や湿地植物が繁茂する場所も水脈が近い可能性があります。特に、大きな樹木の周辺は根が地下水に届いていることが多く、水脈があるサインとされています。
ダウジング:水脈探しの古来の技術
また、ダウジングと呼ばれる古来の技術もあります。これは、Y字型の枝や金属棒を持って歩き、水脈の上で棒が動くことで水を見つけるという方法です。科学的根拠はまだ明確ではありませんが、現在でもこの方法を使う人が世界各地にいます。
2. 人力での井戸掘りのプロセス
水脈が見つかったら、次に井戸を掘る作業に移ります。人力での井戸掘りは時間と労力を要する作業ですが、伝統的な方法では比較的シンプルな道具だけで進められます。
手掘り井戸の基本的な道具
手掘りに必要な道具としては、シャベルやつるはし、バケツ、ロープなどが使われます。掘る深さによっては、土や岩を持ち上げるための滑車や簡易的なウィンチが活用されることもあります。
掘削の手順
- 地表の掘削:まず、掘削を始める場所を決め、直径1メートル前後の穴を掘ります。井戸の形は一般的に円形で、掘り進めるごとに壁を安定させるため、周囲に土留めを設置します。
- 掘削の深さ:井戸の深さは水脈の位置に依存しますが、多くの場合、10~30メートルほど掘り進めます。水が染み出してくるまでの深さに達するのは、自然の地層や水脈の状況次第です。
- 土の排出:掘り進む中で出た土や石をバケツでロープを使って地上に引き上げます。この作業は非常に体力を要し、複数人で交代しながら行うのが一般的です。
水が見つかった後の仕上げ
水脈に到達し、地下水が確認できたら井戸を完成させるための仕上げ作業が必要です。井戸内の壁には石やコンクリートで補強を行い、崩壊を防ぎます。また、地上部に井戸枠を設置し、ポンプやバケツで水を汲み上げる設備を設けることもあります。
3. 環境と持続可能な水の確保
井戸掘りは、環境に依存した持続可能な水資源の確保方法です。特に、雨水や地下水が豊富な地域では、機械設備を使わずに人力で井戸を掘ることで、持続可能な生活基盤を作ることができます。また、この方法は資源やエネルギーの消費が少なく、環境への負荷を最小限に抑えられる点も評価されています。
4. 人力井戸掘りの魅力と未来
現代の技術と比較すると、手掘りの井戸は効率的とは言えないかもしれません。しかし、手作業で自然と向き合いながら掘り進めるプロセスは、自然との調和を感じさせてくれるものです。また、技術や資源が限られた地域では、今もこの方法が重要な生活の手段として利用されています。
井戸を掘ることで自ら水を確保し、自然の恵みを直接感じ取る体験は、テクノロジーの発展した現代においても貴重なものです。手掘りの井戸は、技術や知識を次世代に引き継ぎながら、持続可能な生活を支える重要な手段となり続けるでしょう。
実体験をしてみる
来たる9月19日(月)、20日(火)
市原市押沼201 の古民家にて
水脈探し、人力井戸掘りのワークショップを行います。
講師はトンネルマン40年、地下屋のありとあらゆる経験を元に、全国各地で人力での井戸掘りを教えている西田さんに来ていただきます。
手製のパイプハンマーで単管パイプを土中に打ち込み、井戸にしてしまうというシンプルな方法。
元々は災害時に、被災者や救助者の足元に豊富にある地下水を人力で引き出せないか? ということで西田さんが考案されたものです。
千葉でも3年前に大きな台風災害で長期の停電を受けた時がありましたよね。あの時、井戸はあっても電動ポンプは役に立たずアナログが見直されたのでした。
地下のこと、地下水のこと、災害対応、農地への水利用などに興味がある方は是非この機会にご参加下さいませ。
当日は古民家の主、すみれさんに希望者はバーベキューを用意して頂く予定です。この古民家の庭で採れた無農薬野菜や、近隣から集まってくる食材をすみれさんが美味しく調理してくれるでしょう。一緒に楽しみましょう!
日時 19日 08:00〜夕暮れ
20日 08:00〜夕暮れ(予備日)
場所 市原市押沼201
※近くの空き地に駐車できます。
参加費 ワークショップ
1名 3000円 家族 1000円
未成年 無料
バーベキュー 12:00頃
中学生以上 1名 1000円
小学生以下 1名 500円
※手袋、長靴をご用意頂き、汚れても良い服装でいらして下さい。
詳細を知りたい人は問い合わせよりご連絡ください。