2020年から2050年までの30年間で若年女性人口が50%以上減少する自治体を「消滅可能性自治体」と定義しました。分析の結果、千葉県内には、人口減少や高齢化などの要因から、自治体の存続が脅かされている地域が存在します。
今回の記事では、その中でも特に消滅の可能性が指摘されている自治体について紹介します。
千葉県内の消滅可能性自治体とは
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千葉県では銚子、勝浦、富津、八街、南房総、匝瑳、香取、山武、いすみの9市と、栄、神埼、多古、東庄、九十九里、芝山、横芝光、白子、長柄、長南、大多喜、御宿、鋸南の13町が「消滅」する可能性があると判断された。外房エリアの自治体が多いようです。
消滅可能性自治体になぜ認定されたのか
報告書によれば、2020年から50年までの30年間にわたり、20~39歳の若年女性が半数以上減る自治体を「消滅する可能性がある」と定義しました。この定義に基づくと、千葉県内では北総から外房エリアに位置する自治体が多数含まれています。
銚子市
銚子市では10年前から消滅の可能性が指摘されており、若年女性人口の減少率は2050年までに67・5%に達すると推計されています。この間、市全体の人口は約5万2千人から約20%減少しましたが、若年女性の減少率は約37%に上りました。市の担当者は、「若い世代が求める職場を提供するために、官民が協力して取り組んできましたが、うまくいっていない」と述べています。
南房総市
南房総市の座間好雄総務部長も同様に、「消滅可能性自治体からの脱却ができていないことは残念だ。今後は、移住や定住の施策をさらに強化したい」と述べました。市は今年度から、移住した子育て世帯に対する家賃補助支援など、関連する政策の拡充に取り組んでいます。
多古町
多古町では、2050年までに若年女性の人口が55・3%減少し、人口は1万人を下回ると推計されています。町の担当者は、「子育て世帯や若者への経済的支援を強化していますが、自治体単独では限界がある」と述べています。
しかし、多古町は手をこまねいていません。民間との協力で、移住を希望する子育て世帯のための「子育て支援住宅」を提供しています。この住宅は、防音構造が施されており、学校やスーパーマーケットにも近い場所に位置しています。そのため、入居前にすでに満室となっています。
消滅可能性自治体から脱却したケースも
10年前に行われた将来人口推計に基づき、県内で消滅の可能性が指摘された自治体は、千葉市花見川区を含む27市区町でした。しかし、今回の報告書では、君津市や睦沢町など5つの地域が除外されました。
自立持続可能性自治体になったケースも
100年後にも若年女性の50%以上が残る自治体には、流山市と印西市が含まれています。流山市はつくばエクスプレス(TX)の開業によって急速に人口が増加し、若年女性の人口増加率は県内で唯一のプラスとなっています。
。熊谷俊人知事は、2月8日の記者会見で、「人口が減少しても、緩やかな減少にとどめ、住みやすい千葉県を作り上げることが重要である」と述べています。
「消滅可能性自治体」の課題と解決策
今後、「消滅可能性自治体」を防ぐためにも課題と解決策について紹介します。
課題
- 人口減少と高齢化:地方自治体では若者の地元離れが進み、人口が減少しています。また、高齢者の割合が増加し、地域全体の高齢化が進んでいます。
- 経済の停滞:地方経済の活性化が進まず、雇用機会や産業が衰退しています。若者の地元離れや企業の移転などが、経済的な停滞を招いています。
- 財政難:人口減少や経済の停滞により、地方自治体の財政が逼迫しています。行政サービスの縮小や施設の閉鎖などが行われ、地域住民の生活に影響を与えています。
解決策
- 地域振興策の推進:地域の特性や資源を活かした観光や農業、地域産業の育成を通じて、地方経済の活性化を図ります。
- 若者定住の促進:若者の地元定住を促進するための施策や支援制度を整備し、地域の活力を維持します。
- 地方自治体間の連携強化:地方自治体同士の連携を強化し、地域間格差の縮小や共同事業の推進を図ります。
- ICT技術の活用:情報通信技術(ICT)を活用して、地域住民とのコミュニケーションや行政サービスの効率化を図ります。
まとめ
千葉県内の消滅の可能性が指摘されている自治体は、地域の特性や課題に応じて様々な取り組みを行っていますが、その存続に向けた課題は依然として大きい状況です。地域住民や行政、関係機関が一体となって取り組むことが、地域の持続可能性を確保する上で重要です。
参考文献:https://www.hit-north.or.jp/cms/wp-content/uploads/2024/04/01_report-1.pdf