平成が終わり、令和へとなりましたが、皆さんは市原市内を通る「平成通り」をご存知でしょうか?
平成通りは、国道16号線とほぼ併走する形でやや内陸側を通っている千葉市と袖ケ浦市を結ぶ総延長13.3kmの都市間幹線道路で、市原市は「JR3駅(八幡宿駅、五井駅、姉ケ崎駅)周辺拠点を結節することで、今後のまちづくりに欠くことのできない本市の最重要路線」としています。また、災害時には緊急輸送道路としての役割も期待されています。
しかし、現時点では姉崎から五井の区間や、八幡宿から千葉市への区間が完成しておらず、また、八幡地区の区間でも車線が少ない状態での開通となっている区間も残ります。
今回はそんな平成通りの完成がいつになるのかなどを調査しました。
最終更新日:2021年6月3日
令和の始まりとなった2019年ですが、現時点で平成通りの工事は当初の計画より遅れています。
市原市によると、平成通りは、昭和39年1月に都市計画道路として位置づけられ、昭和40年代から工区ごとに事業認可を取得し整備を進めてきたものの、平成通りの全体延長が13.8kmと長いため整備に時間を要しているということです。 また、現在整備を推進している姉崎地区から五井地区への区間は、平成9年度に事業認可を取得して事業に着手していたものの経済情勢の変化により当初計画どおりの予算を確保することができないことや、用地交渉の難航などにより整備の遅れが生じているそうです。
市原市が開通目標宣言を発表
そんな中、2018年12月に市原市が開通目標宣言を発表しました。
しかし、この開通目標宣言は「【開通目標宣言】八幡椎津線ほか1線(姉崎地区)(リンク切れ)」となっており平成通りの全線に対する開通目標宣言ではなく、主に姉崎地区などでの開通目標宣言となっています。
地区別の現状と工事計画
市原市が2018年12月に発表した開通目標宣言には、平成通りの工事の進捗や計画などを示す地図も掲載されており、ここではその地図と、市原市に問い合わせを行った結果から平成通りの工事の現状・計画や完成時期などについて工事地区別に説明します。
姉崎地区
平成通りの姉崎地区は、こちらの地図の水色線部と赤線部で示した区間を指します。この区間では、水色の線で示した、袖ケ浦市方面から椎津地区、姉崎地区の一部が元々開通しており、更に、赤線で示した姉崎地区の一部と白塚地区が2021年3月26日15時頃に開通しました。
この区間では、用地買収がスムーズに進まないなどの原因により工事に遅れが発生していました。
この区間では、平成通りからJR内房線を超え、都市計画道路青柳線に接続されました。
なお、接続される都市計画道路青柳線は海保と接続される計画もありましたがその計画は廃止されました。
また、この区間では、2021年3月の供用開始後、片側1車線での運用がなされており、海保倉庫へ向かう大型車や、青葉台方面へ向かう車両が右折レーンに収まりきらないことによる混雑なども発生しています。市原市によるお今後は片側2車線化の計画もあるということですが、時期は未定で、今後、交通量の推移などの調査や、交通管理者と協議し、段階的な片側2車線化の整備を含め検討していくということです。
五井地区
平成通りの五井地区はこちらの地図の黄緑色の線で示した区間を指します。この区間は更に細かく分けられた地区ごとに説明します。
まず、少し見づらいですが紫色の線で示した五井地区。こちらは五井の市街地を通る区間で、以前より開通しています。次に、青線で示した平田第一工区ですが、こちらもここ数年の間(2013年頃)に開通しました。
オレンジ色の線で示した区間は、平田第二工区で小湊鐵道と交差し、国道297バイパスへとつながる区間ですが、現在整備中となっています。市原市によると測量、設計、事業説明会、関係地権者への用地説明会を実施し、2021年度より工事を開始する予定になっているということです。
こちらの平田第二工区では、小湊鐵道と交差する箇所がありますが、小湊鐵道との交差部はアンダーパス構造(鉄道の下を道路が横断、通過する立体交差)となります。また、297バイパスとの交差部については平面交差の計画となっています。
この区間での開通の時期は未定とのことですが、2021年度より小湊鐵道軌道下部の工事に着手する予定となっています。また、2021年6月現在、小湊鐵道軌道より五井方面の、開通済み区間との境界において、工事車両などの進入経路の工事が行われています。
こちらの地図での赤点線部は飯沼地区、紫点線部は島野地区です。この2つの地区はこれまで未着手区間となっており、姉崎地区部分の供用開始後に速やかに事業に着手するとしていましたが、2020年度に認可を取得し、2021年度より測量等に着手するということです。ただ、飯沼地区では養老川に橋をかける必要があるなど時間がかかることが予想されます。
八幡地区
平成通りの八幡地区は、こちらの地図の紫色の線で示した 八幡市街から千葉市境界までの区間を指します。この区間はすでに開通しており、破線で示した区間が暫定的に2車線になっておりましたが、八幡宿駅東口土地区画整理事業の一環で、2020年8月から2021年3月にかけて4車線化に伴う道路築造工事が行われ、2021年3月頃より片側2車線の供用が開始されました。
千葉市区間
平成通りの千葉市区間は、村田川を渡り国道16号線へとつながる計画となっています。この区間では村田川を渡る平成村田橋はすでに完成していますが、その先の道路が狭く危険であることから橋部分は歩行者専用、橋から国道16号線までの区間は未完成となっています。この区間が未完成の理由としては、この区間には神社があり、その移転に関して問題が発生していたためというのが一番の理由のようです。この件については過去に千葉市の熊谷市長がツイートしています。
村田町線については市原市側との接続に向けて重点的に取り組んでおり、整備予定地にある神社の移設に向けて、氏子や地元住民の方々と話し合い、神社の移転について先般合意がなされたと聞いています。今後は神社の移転後に道路整備が進んでいくことになります。#千葉市のまちづくり181121 https://t.co/LbitnYoL7L
— 熊谷俊人(千葉市長) (@kumagai_chiba) November 22, 2018
このツイートによるとすでに神社とは合意がなされており、神社の移転後に道路整備が進むとされていますが、時間が掛かることが予想されます。
また、この区間について、市原市は、「開通時期は未定とのことだが、用地買収等も進捗しており早期開通を目指していると伺っている」としています。
開通について
平成通りはおよそ30年以上に渡り全線開通がなされておらず、一部ではその工事の進行の遅さから、人口減少などを理由に開通させないということもあり得るのではないかという意見もあります。
しかし、この意見について実際はどうなのか市原市に尋ねたところ、市原市は平成通りを最重要路線と位置づけていることから、全線開通を目指すとの回答があり、開通させないという可能性は高くはなさそうです。
名称
平成が終わり、令和の時代がやってきましたが、平成通りという名称は変わらないのか、市原市に尋ねてみました。
市原市によると、平成通りは平成元年度に、道路や坂道に愛着と親しみを持ってもらおうと始まった愛称選定事業を記念して平成にちなんだ愛称とされた経緯があり、元号が令和になっても愛称を変えることは考えていないということです。
結論
平成通りにはまだ未着工の箇所もあるなど、全線開通にはかなりの時間を要しそうです。ただ、計画の進行はかなり遅いながらも姉崎地区で部分的に開通予定があるなど、着実に計画、工事は進行している状況です。
現時点ですでに計画の進行に30年以上を要しており、50年かからずに開通できることを願うばかりです。
なお、平成通りの状況に進捗があった場合などには当記事を更新いたします。